2009-07-01

鍼灸刺激と反射

寝られなくなったので、今回はまじめなお話。
興味のある方だけ、どうぞ。


東洋医学である鍼灸治療では、体表面に加えられた鍼術の機械的刺激、灸術の温熱的刺激が生体に反射を引き起こした結果、その影響による生体の変化が一定の治療効果を上げていると考えられる。

この生理的な刺激とそれに伴う反射は、次のようにまとめられる。

末梢に存在する感覚受容器が生体に加えられた刺激により興奮すると、求心路を通り中枢神経系へ伝えられ興奮を引き起こす。
中枢神経系は、これを遠心路を通し効果器に伝え一定の反応を生じさせる。

この場合、求心性繊維から遠心性繊維への伝達が行われる部位を反射中枢といい、
受容器から反射中枢を経て効果器に連なる経路を反射弓という。

<反射の分類>

A 体性ー運動反射

体性感覚(皮膚感覚と深部感覚)の受容器が存在する骨格筋に加えられた刺激により、
筋肉内の筋紡錘が興奮し、その興奮が反射中枢である脊髄を介し運動性の効果器である筋肉の興奮を引き起こす反射である。

A)伸張反射
膝蓋腱反射 アキレス反射など

B)逃避反射    
体性感覚に加えられた侵害性の刺激から身体を守るため、その刺激から逃げようとする動作。

B自律神経反射

外界や内蔵諸器官に起こった変化に対して、生体には内部環境の恒常性を維持する機能が働く。
その調節機構の大部分は自律神経系によって担われているが、これら自律神経を介した反射を自律神経反射と呼び、
求心性神経繊維の受容器と遠心性神経の効果器の種類によって次のものがあげられる。

A)内蔵ー内蔵反射
心臓や消化管、膀胱などにみられる。

B)内蔵ー体表反射
内蔵の病変が体表部に現れるものとして関連通がある。
これは異常が内蔵にあるのにも関わらず体表部に痛みを感じるというものである。

C)体性ー内蔵反射
一定の体壁を刺激すると、その興奮は脊髄後根に伝えられ、脊髄の同じ高さの神経支配を受けている内蔵に反射作用が現れる。
このときに、内蔵に現れる現象は、運動性、知覚性、分泌性、代謝性ならびに血管運動性である。

体表から刺激を加えて、内蔵機能の変調を調整しようとする鍼灸効果の機転は、この反射によるものが大部分である。

C鍼灸刺激と反射

A)体性自律反射
鍼灸施術は体表面に刺激を加えることで内蔵への自律性の反射を引き起こし、治療効果を上げているものと考えられる。

鍼刺激は心臓においては交感神経抑制方向、末梢血管は交感神経緊張方向の反応を引き起こす。

また、収縮期心拍数は、灸で増加し、鍼で減少する。

刺鍼刺激は、交感神経機能抑制、副交感神経機能亢進などの作用がある。

B)軸索反射
皮膚を鍼などで刺激すると、局所に紅斑が出現する。

これは、「求心性神経線維の終末にある受容器を鍼で刺激すると、インパルスは求心性に伝達されるが、軸索の枝分かれ部分から逆行して末梢にインパルスが伝わり、その神経末端部からも脊髄におけると同様な神経伝達物質(サブスタンスPなど)が遊離され、血管拡張神経に作用し、血管の拡張が生じて血行が盛んになる。』ために起こるものである。

軸索反射は、本来の反射ではなく特殊な反射に分類されているが、鍼が痛みや凝りに有効的に作用する1つの機序として示唆されたものである。



以上、堅苦しいお話ですが、「鍼灸師、按摩マッサージ指圧師になるのは大変なんでしょ?」と良く聞かれますので、たまにはまじめに書いてみました。
専門学校時代は、人生で一番まじめに勉強しましたね。
やはり目標や、やるべきことがわからないと頑張れないですよね〜。

授業中、いつも寝てたじゃーんと言われそうですが(笑)。

睡眠学習法を侮ってはいけません。

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